春や秋はアウターとして。
雨の日はレインウェアとして。
一着あるとなにかと便利なマウンテンパーカー。
ひとえにマウンテンパーカーといっても、アウトドアブランド各社からさまざまな種類のものが多数リリースされており、なにを選べばいいのか分かりづらいのが現状です。
そこで本記事ではアウトドアだけでなく街着にもおすすめのモデルをピックアップし、スペックや実際に着てみた印象などを比較してみました。
どれも異なる魅力に溢れたモデルばかりですが、あいて一着選ぶなら、ストレッチが効いて着ごこちに優れるミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」がおすすめです。
ぜひ選ぶ際の参考にしてみてください。
▼おすすめはミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」
マウンテンパーカー選び 3つのポイント
まずはマウンテンパーカーを選ぶ際のポイントを以下の3つに絞って解説します。
- 耐水圧と透湿量
- 生地の層
- 着ごこち
では、それぞれを見ていきます。
1.耐水圧と透湿量
マウンテンパーカーに採用されている防水透湿素材(ゴアテックスやメーカー独自素材)はどれも【水を通さずに水蒸気を排出する】原理は同じです。ただし素材によって耐水圧や透湿量などスペックが異なります。
なので用途に合わせて必要なスペックのウェアを選ぶことが大切です。
まず、耐水圧とは「水が染み込もうとする力にどれくらい耐えられるか」を数値化したもので、目安は以下のとおりです。
耐水圧 | 耐えられるレベル |
---|---|
300mm |
小雨
|
2,000mm |
ふつうの雨
|
10,000mm |
大雨
|
20,000mm |
嵐
|
ただし、マウンテンパーカーなどウェアの場合はこの耐水圧に人の動作による圧力がプラスされます。なので、シーン別のおすすめスペックは次のようになります。
- 小雨をしのぐ程度→2,000mm以上
- キャンプや軽めのアウトドア、雨のなかでの作業→10,000mm以上
- 登山やサイクリングなどハードなアウトドア・スポーツ→20,000mm以上
次に透湿量とは「ウェア内の水分(水蒸気)を外へ排出する量」のこと。いわば、ムレにくさを数値化したもので、表記はこのようになります。
(例)10,000g/㎡/24h
意味は「24時間で1平方メートルあたり10,000gの水分を外に排出する」です。
ちなみに大人が汗をかく量の目安は以下のとおりです。
状態 |
1時間の 発汗量 |
24時間の 発汗量 |
---|---|---|
じっとしている |
50g
|
1,200g
|
軽い運動 |
500g
|
12,000g
|
激しい運動 |
1,000g
|
24,000g
|
マウンテンパーカーなどのウェアは表面積がおよそ2平方メートルあるため、上記の発汗量をベースに換算すると、シーン別のおすすめスペックは次のようになります。
- 通勤通学やウォーキングなどの軽い運動→5,000g/㎡/24h以上
- ランニングやアウトドアなどの激しい運動→10,000g/㎡/24h以上
- 登山→20,000g/㎡/24h以上
以上をまとめると、
①街着に必要なスペック
- 耐水圧5,000mm以上
- 透湿量5,000g/㎡/24h以上
②キャンプ・アウトドアに必要なスペック
- 耐水圧10,000mm以上
- 透湿量10,000g/㎡/24h以上
③登山やハードなスポーツに必要なスペック
- 耐水圧20,000mm以上
- 透湿量20,000g/㎡/24h以上
これくらいあるといいでしょう。
想定している着用シーンや目的など用途に合わせて選んでみてください。
2.生地の層(レイヤー)
マウンテンパーカーはモデルによって生地の層(レイヤー)が異なります。
どういうことかというと、マウンテンパーカーの生地はだいたい2〜3枚の素材を貼り合わせて作られており、この素材が何枚重ねてあるかをを層(レイヤー)と呼びます。
具体的には次のような構造です。
- 2層→表地+防水透湿素材
- 2.5層→表地+防水透湿素材+コーティング
- 3層→表地+防水透湿素材+裏地
それぞれの基本的な特徴は以下のとおり。
層 | 軽量性 | 耐久性 | しなやかさ |
---|---|---|---|
2層 |
◎
|
△
|
◎
|
2.5層 |
◯
|
◯
|
◯
|
3層 |
△
|
◎
|
△
|
なかでも注意すべきは2.5層です。裏地の代わりにコーティングがしてあるのですが、素材にポリウレタンが使用されていることがあります。
このポリウレタンは水に弱いため、経年劣化で加水分解してしまうデメリットがあります。
加水分解するとコーティングがポロポロと剥離したり、防水用のシームテープがはがれたりします。最終的には使い物にならなくなってしまうことも。
使用状況や保管状況によって差はあるものの、早ければ2〜3年で劣化します。ただし、この劣化は2.5層の宿命というか避けられないものなので、理解したうえで購入することが大切です。
とはいえ2.5層が悪いわけではありません。2層や3層のモデルも剥離はなくとも必ず劣化します。
ウェアを長く愛用するには日頃のケアが重要です。洗濯はもちろん、使用後に軽く湿らせた布で表面を拭いて、しっかり乾燥させることで長持ちします。
3.着ごこち
マウンテンパーカーを選ぶ際はスペックだけでなく、着ごこちも大切です。着ごこちを左右する要素は以下の3つ。
- 生地のやわらかさ
- ウェアの重量
- ストレッチの有無
ゴアテックスなどはゴワゴワ・ガサガサと硬いイメージがありますが、それも昔の話。
現在はやわらかな着ごこちのものが増えており、正直なところどれも大きな差はありません。
なので、生地のやわらかさよりは重量やストレッチに注目して選ぶのもアリです。
軽量なもののほうが着ていてラクですが、そのぶん機能は簡易的なものとなります。重量と機能はトレードオフなので、着用シーンなど用途によって重量と機能のバランスを考える必要があります。
また着ごこちを最優先するならストレッチ性を備えたものがおすすめです。
ただ、ストレッチ性を備えたマウンテンパーカーはあまりありません。
本記事で紹介するなかではミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」とパタゴニア「スレートスカイ・ジャケット」の2着のみです。伸縮性はミレーのほうが強く、よく伸びます。
マウンテンパーカーおすすめ8選
アウトドアだけでなく街着にも使えるおすすめの人気モデルをピックアップしました。
スペックや実際に着てみた印象などを紹介していきます。
【スペック比較】
商品名 | 税込価格 | 素材 | 層 | 耐水圧 | 透湿量 | 重量 | ストレッチ | 洗濯機 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1.パタゴニア トレントシェル3Lジャケット |
27,500円
|
H2No
|
3層
|
非公表
|
非公表
|
394g
|
✕
|
◯
|
2.ミレー ティフォン50000 |
35,200円
|
ドライエッジ
ティフォン50000 |
3層
|
20,000mm
|
50,000g/㎡/24h
|
304g
|
◯
|
✕
|
3.ノースフェイス ベンチャージャケット |
18,700円
|
ハイベント
クリアD |
2.5層
|
20,000mm
|
10,000g/㎡/24h
|
215g
|
✕
|
✕
|
4.ノースフェイス ドットショットジャケット |
22,000円
|
ハイベントD
|
2.5層
|
20,000mm
|
10,000g/㎡/24h
|
310g
|
✕
|
✕
|
5.ノースフェイス クラウドジャケット |
31,900円
|
ゴアテックス
パックライト |
2.5層
|
50,000㎜〜
|
25,000g/㎡/24h〜
|
360g
|
✕
|
✕
|
6.ノースフェイス クライムライトジャケット |
39,600円
|
ゴアテックス
|
3層
|
50,000㎜〜
|
25,000g/㎡/24h〜
|
290g
|
✕
|
✕
|
7.ノースフェイス マウンテンライトジャケット |
41,800円
|
ゴアテックス
|
2層
|
50,000㎜〜
|
25,000g/㎡/24h〜
|
715g
|
✕
|
✕
|
8.パタゴニア スレートスカイ・ジャケット |
28,600円
|
H2No
|
3層
|
非公表
|
非公表
|
295g
|
◯
|
◯
|
どうしてもゴアテックスに注目が集まりがちですが、日常使いがメインでハードなアウトドアをしないのであれば、どれも必要十分な防水透湿性能を備えています。
なので選ぶ際は、どんな特徴がプラスαで欲しいかを考えるといいでしょう。
各マウンテンパーカーのプラスαの特徴は次のような感じです。
- 自宅で洗濯でき、クリーニングの手間・コストいらず
→パタゴニア「トレントシェル3Lジャケット」 - ストレッチが効いて着ごこちがいい
→ミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」 - 軽量・コンパクトで持ち運びの負担がない
→ノースフェイス「ベンチャージャケット」 - リーズナブルなオールラウンダー
→ノースフェイス「ドットショットジャケット」 - ゴアテックスなのにリーズナブル
→ノースフェイス「クラウドジャケット」 - 本格派オールラウンダー
→ノースフェイス「クライムライトジャケット」 - 真冬もスタメンで使える
→ノースフェイス「マウンテンライトジャケット」 - スリムフィットでスタイリッシュ
→パタゴニア「スレートスカイ・ジャケット」
気になるアイテムをぜひチェックしてみてください。
1.パタゴニア「トレントシェル3Lジャケット」
【おすすめポイント】
- 高コスパ
- 洗濯機で洗えるためケアがラク
【いまいちポイント】
- ややゴワゴワする
- パッカブルであるものの収納が難しい
「トレントシェル3Lジャケット」はパタゴニアの定番ジャケットです。耐水圧や透湿量は非公表ながら、数多くのテストをクリアした独自素材「H2No」を採用。アウトドアでの使用に耐えうるスペックを備えています。
「トレントシェル3Lジャケット」最大の特徴は両脇のベンチレーションです。ウェアを脱がずにジップを開けるだけでカンタンに換気できます。
機能が充実しているわりに価格はリーズナブル。また防水ジャケットには珍しく洗濯機で洗えることも大きな強みです。
おすすめサイズ:ふだん着ているサイズよりもワンサイズ小さめ
>>パタゴニア「トレントシェル3Lジャケット」のレビューはこちら
2.ミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」
【おすすめポイント】
- ストレッチで着ごこちバツグン
- 人と被りにくい
【いまいちポイント】
- ポケットが使いにくい
「ティフォン50000ストレッチジャケット」はミレーのオリジナル素材「ドライエッジ・ティフォン50000」を使用したジャケットです。
ハードなアウトドアにも対応する高い防水透湿機能にストレッチ性をプラス。肩を大きく回しても、またはひじを思い切り曲げても、生地が体の動きに追随してくれます。まるでジャージのようなやわらかさと着ごこちのよさは驚きです。
【防水ジャケット=着ごこちイマイチ】というイメージを覆す画期的な一着といえるでしょう。
またフランスのブランドらしい落ち着いたデザインは街着にもピッタリ。街で着ている人をあまり見かけないため、ある意味で狙い目のジャケットです。
おすすめサイズ:ふだん着ているサイズよりもワンサイズ小さめ
>>ミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」のレビューはこちら
3.ノースフェイス「ベンチャージャケット」
【おすすめポイント】
- 軽量・コンパクトで持ち運びの負担なし
- 日常での使い勝手◎
【いまいちポイント】
- 必要最低限のスペックのため本格アウトドアには不向き
- 薄手のため冬は厳しい
ノースフェイス「ベンチャージャケット」はノースフェイス独自の防水透湿素材「ハイベント・クリアD」を採用したジャケットで、とにかく軽量・コンパクトなのがウリです。
機能は必要最低限ですが、街着に十分なスペックと手に取りやすい価格は入門用としても最適。
本格的なアウトドアには向きませんが、街着や雨具、ウィンドブレーカーなどマルチに使えるため、日常における使い勝手はバツグンです。
おすすめサイズ:ふだん着ているサイズよりもワンサイズ大きめ
>>ノースフェイス「ベンチャージャケット」のレビューはこちら
4.ノースフェイス「ドットショットジャケット」
【おすすめポイント】
- ゴアテックスにこだわらなければトータルでコスパ高い
- 中に着込めば冬も使える
【いまいちポイント】
- ファスナーが硬めでスムーズに開閉できない
- ポケットが使いにくい
ノースフェイス「ドットショットジャケット」は、ノースフェイスのオリジナル防水透湿素材「ハイベントD」を採用したマウンテンパーカーです。
正直なところ、突出した特徴はありません。
ですが逆に、すべてにおいて必要十分な機能が備わっており、欠点が少ないとも言えます。
ミドル丈で、フロントにも防風フラップが付いているので、雨・風の対策は問題なし。構造上は「クラウドジャケット」や「クライムライトジャケット」とほぼ同じです。
ゴアテックスにこだわらないのであれば、トータルでコスパが高く、通勤・通学など日常使いしやすい一着です。
>>ノースフェイス「ドットショットジャケット」のレビューはこちら
5.ノースフェイス「クラウドジャケット」
【おすすめポイント】
- 黒ロゴがシック(ブラック以外)
- ゴアテックスのわりにリーズナブル
【いまいちポイント】
- フロントのベルクロが面倒
- 若干レインウェア感あり
ノースフェイス「クラウドジャケット」は軽量なゴアテックス・パックライトを採用したジャケットです。
ハードなアウトドアに使えるスペックでありながらも、ルックスや機能面では日常使いに適したディテールを備えています。
ノースフェイスには珍しく、ロゴが白ではなく黒で目立たないのもポイント。(ブラック以外)ブランドの主張がニガテな方にもおすすめです。
またゴアテックスを使用しているにもかかわらずリーズナブルなため、ゴアテックス入門モデルとしてもおすすめです。
>>ノースフェイス「クラウドジャケット」のレビューはこちら
6.ノースフェイス「クライムライトジャケット」
【おすすめポイント】
- 高い総合力
【いまいちポイント】
- ポケットが使いにくい
- フロントジップの開閉が硬い
「クライムライトジャケット」はゴアテックスを採用したジャケットです。ノースフェイスのジャケットのなかでも高い人気を誇ります。
人気の理由は防水透湿機能はもちろん、軽量性や着ごこちなどあらゆる面においてハイレベルな性能を備えているからです。
フロントの止水ジップの動作が硬いものの、それも高い防水性の裏返し。充実のディテール満載にもかかわらず、高すぎない価格も大きな魅力です。
おすすめサイズ:ふだん着ているサイズ、またはワンサイズ大きめ
>>ノースフェイス「クライムライトジャケット」のレビューはこちら
7.ノースフェイス「マウンテンライトジャケット」
【おすすめポイント】
- ワンランク上のスペック
- 冬もアウターとして使える
【いまいちポイント】
- ポケットが使いにくい
- やや重ため
ノースフェイス「マウンテンライトジャケット」はゴアテックスを採用したマウンテンパーカーです。
高い防水透湿性にくわえて、防風性にも優れているため、インナーにフリースやインナーダウンを着込めば真冬でもスタメンアウターとして使えます。
本格的なディテールを備えているので若干重ためではあるものの、安心感・安定感はワンランク上です。
おすすめサイズ:ふだん着ているサイズ
>>ノースフェイス「マウンテンライトジャケット」のレビューはこちら
8.パタゴニア「スレートスカイ・ジャケット」
【おすすめポイント】
- スリムフィットでスッキリ着こなせる
- ストレッチが効いて、動きやすい
【いまいちポイント】
- 中に着込めないため冬は厳しい
- スナップボタンが硬く、留め外ししづらい
「スレートスカイ・ジャケット」はパタゴニアのオリジナル防水透湿素材「H2No」を使用したマウンテンパーカーです。
デザイン面での大きな特徴が、フライトジャケットを彷彿とさせるフロントのストームフラップ。無骨なミリタリーっぽさが男心をくすぐります。
スリムフィットのためダボつかず、スッキリとスタイリッシュ。とはいえ生地が柔らかく、さらにストレッチが効いているため着ごこちは快適です。
おすすめサイズ:ふだん着ているサイズよりもワンサイズ小さめ
>>パタゴニア「スレートスカイ・ジャケット」のレビューはこちら
マウンテンパーカーおすすめ8選 まとめ
以上、街着できるおしゃれなマウンテンパーカーを紹介してきました。
どれもアウトドアと街着を兼用できる使い勝手のいいものばかりです。
それぞれ異なる魅力を備えているものの、あえて一着選ぶなら、ストレッチが効いて着ごこちに優れるミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」をおすすめします。
ぜひいちどチェックしてみてください。
▼おすすめはミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」
【今回紹介したアイテム】
- パタゴニア「トレントシェル 3Lジャケット」
- ミレー「ティフォン50000ストレッチジャケット」
- ノースフェイス「ベンチャージャケット」
- ノースフェイス「ドットショットジャケット」
- ノースフェイス「クラウドジャケット」
- ノースフェイス「クライムライトジャケット」
- ノースフェイス「マウンテンライトジャケット」
- パタゴニア「スレートスカイ・ジャケット」
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